マキシマルとプレダコン Maximal&Predacon
『BW』で初めて登場したマキシマルとプレダコンというTF種族。日本語版ではサイバトロン、デストロンとなっているが、実は彼らは「G1シリーズ」で馴染み深いサイバトロンとデストロンとは、「全く異なる」種族である。彼らマキシマルとプレダコンは、地球暦2010年(『TR』のラスト)〜2300年の間にセイバートロン星に出現した種族で(厳密にいつ現れたのかは現在の所不明)、彼らの出自には「ヴォック」が絡んでいる。「プロトフォーム・トランスフォーマー」とも呼ばれる。
サイバトロンとデストロン Cybertron&Destron
サイバトロンとデストロンは、プロトフォームTFと区別し、「G1(第1世代)トランスフォーマー」と呼ばれる。かつて両種族は対立し、悠久の歴史の大半をセイバートロン戦争(グレートウォー)に費やしてきたが、サイバトロンが勝利したことで和平合意が成立、平和共存の時代・パックス・セイバートロニアを実現した。終戦に伴い多くの戦士達は退役したが、最高議会ハイ・カウンシルの主要なメンバーはサイバトロンとデストロンであり、今なお彼らは、"セイバートロン社会の中心的役割"を担っている(地球暦2300年頃の彼らは、未だマキシマルとプレダコンよりも大きな勢力だったようだ)。以下では、プロトフォームTFとG1TFの主な違いをまとめた。
■違い1・プロトフォーム
マキシマルとプレダコンは、プロトフォームと呼ばれるTFの原初形態から誕生する。この点こそ、彼らとG1TFの最大の違いである(詳細は下記「プロトフォームとは」参照)。なお、一方のG1TFがどのようにして誕生するかだが、彼らの場合、まずボディを製作され、次にセイバートロン星の中枢コンピュータであるベクター・シグマからエネルギーを照射されることで、その身体にスパークが宿り、TFとして誕生する。
■違い2・有機生命体への変形
マキシマルとプレダコンは、G1TFには"不可能"な有機生命への変形が可能となっている。G1TFは、生物の形状などの特徴を獲得することはできたが、その姿は無機質でメカニカルなものだった。一方のプロトフォームTFの外観は、通常の有機生命体とほぼ同じで、その体表は比較的丈夫だが、元となった生物同様の温かさや柔らかさを持っている。これは、彼らがビーストモードに変形する際、採取したDNAデータを基に身体を構成するナナイト(有機物を含むナノマシン)が、生物の特徴に合わせた"有機形態に変化"しているためである。つまり、マキシマルとプレダコンの身体には、"G1TFと違い、有機要素が含まれている"のだ。もう一つ、プロトフォームTFの中には、スキャンした生物の遺伝子情報に基づく"野性"が息づいている点も重要と言える。彼らは長期間ビーストモードでいた際、その内に棲む"野性の本能"に突き動かされたこともあった。マキシマル達は、ロボット(機械)と有機生物が融合した、全く新しい、特殊な生命体(種族)なのである。また、彼らはビーストモードではエネルギー変換機能を使用でき、本物の生物同様に、有機物(動物や植物など)を文字通り"食べる"ことも可能だった(エネルギー摂取の効率面ではエネルゴンに劣るらしいが)。
■違い3・起動コード
マキシマル達は、ロボットモードへの変形や各種機能を作動させる際に、起動コードの音声入力を用いる。G1TFが「トランスフォーム」の変形起動コードで統一されていたのに対し、彼らは、マキシマルが「マキシマイズ(「極限化」の意)」、プレダコンが「テラライズ(「脅かす」の意)」とコードが異なる。劇中では第28話で、メガトロンがフューザー達のセキュリティ回路が断線している間に彼らの起動コードを書き換え、「テラライズ」の音声コマンドで変形することを証拠にフューザー達はプレダコンであると信じ込ませるなど、起動コードの設定が巧みに利用されたこともあった。また第45話では、オプティマスがTM2化したチーターに手を差し伸べる場面で、「マキシマイズ」のコードがドラマチックに使用されている。なお、プロトフォームTFがビーストやビークル形態へ変形する際は、「ビーストモード」や「ビークルモード」の音声入力コマンドが使用される。
■違い4・ボディの大きさ
マキシマル達新世代のTFと、サイバトロン達G1TFの外見上最も大きな違いとして、身体の大きさがある。G1TFが基本的に巨大な体躯を有していたのに対し、マキシマルとプレダコンは、人間と同サイズの小型ボディとなっている(身長は180センチ前後と思われる)。アークに侵入したプレダコン・メガトロンとG1TF達の大きさなどから、彼らのボディサイズの違いがよく分かる。また、本物のチーターやホワイトタイガーと同じ大きさのチーターやタイガトロンなどからも、彼らのボディがG1TFと比べてかなり小さいことが分かる。どうやら地球暦2300年頃のセイバートロン星は、"巨人と小人が共存する世界"だったようだ。
■違い5・マーク
マキシマル及びプレダコンと、サイバトロン、デストロンは、種族を象徴するマークがそれぞれ異なる(左上の画像参照)。マキシマル・マークはコウモリ、プレダコンはハチを象っており、色は、前者がサイバトロンと同じく赤を、後者は黄色を基調としている。
『BW』では、これら様々な組織・機関が登場している。非常に魅力的な設定で、物語の世界観をさらに広げているが、日本語版ではなぜか組織の名前などは使用されていない。
■ハイ・カウンシル High Council
パックス・セイバートロニア達成後に発足した最高議会「ハイ・カウンシル」は、全セイバートロンの頂点に立つ統治機関である。そのメンバーはサイバトロンやデストロンの名士達、及び少数のマキシマルとプレダコンらによって構成される。グレートウォーの英雄・コンボイも、主要構成員として名を列ねている。
■マキシマル・エルダーズ Maximal Elders
全てのマキシマルを代表する最高理事会(いわゆる上層部)。マキシマル勢力は彼らによって統治され、率いられている。彼らの指揮の元、スタースクリームの持つ不滅のミュータント・スパークの再現実験が行われ、悲劇のTF・プロトフォームXが創造され、またスタースクリームの情報が機密事項とされた(オプティマス達のスタースクリームについての知識が乏しかったのはこのためである)。このように、マキシマルが善の性質を持っているといえども、このような(彼らにとってどうかは不明だが)生命倫理的に問題となる行為を行っており、必ずしも全てのマキシマルが善で全てのプレダコンが悪、と単純に言うことはできないだろう(ダイノボットの生き方からもそれを感じる)。
■プレダコン同盟 Predacon Alliance
プレダコン種族は単一の権威を信頼せず、その混沌とした性質から、代表的な統治機関というものを持たない。そのため、彼らはプレダコン同盟と呼ばれるいくつもの異なった組織によって率いられ、自分達に合った独自の政治システムを作り上げている(このような状況のプレダコン勢力を、メガトロンは自らの元に「統一」するという野望を持っていた)。中でも有力なのが「トリプルダクス・カウンシル」で、その他「スターコンクレイヴ(Star
Conclave)」や「ギャラクティコン・オーダー(Galacticon Order)」といった様々なプレダコン同盟が存在する。トリプルダクス・カウンシルは、パックス・セイバートロニアの陰で密かに開戦の機会を窺っていたが、ゴールデンディスクを奪ったメガトロンの逃走に、盗まれたプレダコン戦艦が使用されたため、マキシマル・エルダーズとの間に政治的な軋轢が生じた。彼らはこれ以上の事態の紛糾を避けるべく、メガトロンに関わる全ての要因を排除・抹殺するため、太古の地球にジャガーを送り込んだのである。
■プレダコン秘密警察 Predacon Secret Police
セイバートロン星とその周辺を管轄する警察機関。プレダコンやその分派による犯罪行為を密かに監視し、またメガトロンのような過激分子の内偵を役割としている(タランチュラスも、ハイ・カウンシルの命によりメガトロン率いる犯罪者集団に紛れ込んでいた、プレダコン秘密警察の中尉であり、彼はメガトロンを「組織の中から見張っていた」のである)。それ自体が一つの独立組織であり、ハイ・カウンシルにのみ窓口を持つ。常にルールに従うわけではないが、本質的に平和維持機関である。
■ユニクロンズ・スポーン Unicron's Spawn
ユニクロンによって生み出された者達から成る極秘組織。その存在すらほとんど知られていない闇の勢力である。地球暦2300年頃には、ユニクロンズ・スポーンに属する多くのTFがセイバートロン社会の各分野・各組織に紛れ込み暗躍、版図を広げていた…。プレダコンのタランチュラスとトリプルダクス・カウンシルがその一員として知られている。
プロトフォームとは Protoform
プロトフォームとは、マキシマルとプレダコンの「誕生以前」にあたるもので、その"Protoform"という名の通り、彼らの「原初形態」である。有機物質を含む微小機械・ナナイトの集合体からなり、中心部には生命の証・スパークが納められている。これに有機生命体のDNAデータが加わることで、遺伝子的融合し、彼らはTFとして「誕生」するのである。なお、プロトフォームはセイバートロン星の隔絶された地域にある2つの製造施設から一定のサイクルで搬出されている。このため、マキシマルとプレダコンのことを「プロトフォーム・トランスフォーマー」と呼んだりするのだ。
ヴォックとヴォック・ネビュラ Vok&Vok Nebula
太古の地球で何らかの実験を行っていた謎のエイリアン・ヴォック。彼らは純粋エネルギーの生命であり、時間には左右されず、本質的に不死である。実験の邪魔をしたTF達を地球の生物もろとも抹殺しようとしたが、必ずしも邪悪な存在というわけではない。ヴォックとは、かつて「スウォーム」と呼ばれた暗黒エネルギーの集合意識体が変異した姿である。スウォームは飢餓感を満たすため、G2TFや爬虫人類ジャダイ、そして地球人類といった様々な生命体を分解・吸収したが、コンボイによって「善意」を与えられたことで、ヴォックへと生まれ変わった。そのため、彼らは機械と冷血動物、温かい血肉などの特徴が渾然一体となっている。ガス状物質が渦巻く彼らの本拠地・ヴォック・ネビュラ(画像右)の所在は、通常空間(物質世界)にはなく、銀河系の精神的階層(アストラルプレーン)として存在する。そこに、巨大な彼らの総体が鎮座しており、時には自身の微小な一部分を分離し、物質世界へと送り込むこともある(スパークや惑星破壊装置、タイガーホークに宿った分裂体など)。TFの魂であるスパークとは、実はヴォックが微小片に分裂したもので、善なる者は「マトリクス(プロトフォーム製造施設)」に、悪なる者は「ピット」へと送られる(これはスウォームが善悪両方の精神を吸収していたためである)。彼らが分裂する理由は、ヴォックを構成する(吸収した)種族が本能的に個別の存在で、なるべくして「集合意識」となったものではないためである。そこで彼らは、知覚を持った一個のTFに姿を変えることで、任意に「個体」となることができるようにした。TFとしての人生を全うしたスパークは、ヴォック・ネビュラに帰還し、再び一つになる。その時、TFとして過ごした経験や知識などによって、その集合体全体に影響(変化)を与える。つまり個々のスパークには意味があり、それぞれの人生が、その「真の故郷」ともいうべき魂の総体(オールスパーク)をより良きものに変える(進化させる)のだ。TFの胸に納められたスパークとは、集合体の一部分であり、「かけら」なのである。
■ヴォックの実験
ヴォックの地球での実験の目的は「より完璧な人類」を創造することであった。コンボイに「良心」を与えられヴォックへと変異して以来、彼らはこれまでに一掃してきた知性体を「修復」しようと試みてきた。地球の場合、彼らは時空を遡り、原人達を現在のような「好戦的な部族」の集まりではない、統一存在へと導くことでそれを実現しようとした(彼らは地球だけでなく、宇宙の様々な場所で同様の実験を行っていたようだ)。この目的のために用いられたのが、惑星の全土に埋設された莫大な量の純粋「エネルゴン・クリスタル(これは時間経過と共に成長し、安定したエネルゴン・キューブとなる)」である。ヴォックはこのクリーンなエネルギー源が、化石燃料や核エネルギーなどの、汚染の危険を伴う資源と取って替わるよう意図し、人類が十分に発達した暁には、その存在と使用方法を伝え、高度技術の早期到来と人類の発達を加速させようとしたのだ。もう一つ、異なる手段として用いられたのが「宗教」である。ヴォックは、人類の精神には「高次の力」への本能的な希求があると見なしていた。要するに、人間は「神」を必要としているのであり、ヴォックは人類が神への依存状態から脱却する時まで、自ら神の役割を果たそうとした。空飛ぶ島・ブリガドゥーンは、そのために造られた「オリンピア」神殿の一つで、これと同種のものが各地に配置された。これら神殿において、人類はヴォックに学び、宇宙で一人立ちできるほど十分に発達するよう導かれるのである。
■実験の中断
地球の地下に埋蔵されたエネルゴンは環境に優しく、動植物相はその影響を受けない。むしろ植物のための土壌を肥沃にし、ひいてはその植物を摂取する動物をも繁栄させる。だがこのエネルゴンの投入には裏の一面があり、実験が阻害された時には文字通り惑星を破壊するために用いられるのである。この実験阻害の要因となるのは、異種族、ことに高度な科学技術を持つ宇宙航行種族が偶然やって来た場合である。ヴォックが地球に到来したTF達に敵対的に振る舞い、多くのサイトに部外者のための罠が仕掛けてあるのはそのためである。ヴォックは「進化した人類の創造」という最終目的のため、これまでに何度も地球の破壊と再生を繰り返してきた。エイリアン・マシーンの攻撃が成功していれば、彼らは数千年をかけて再び地球をテラフォームし、実験を再開していただろう(その度に、時間流の調整が行われる)。だがそれは失敗し、後にタイガトロンらとの接触によって、彼らは自分達の手段の正当性を確信できなくなった。次に彼らは実験再開のため、惑星全体ではなくTFのみを限定攻撃し、メガトロン排除にあたってはマキシマルに協力する形となった。だがそれは彼ら自身の理由によるものであり、TFとの和解を意味するものではない。
■機械生命種族としての理想的な姿
プロトフォームとは、ヴォックがTFを「機械生命種族としての理想的な姿」に近づける手段として生み出したものである。かつてG1TF達は、他の種族を探索し手を取り合おうとしたが、彼ら自身の巨体がしばしばこの目的の障害となっていた(TF達に恨みを持ち、敵対的な人間も存在した)。対してマキシマルとプレダコンは、より小さくコンパクトで、他の種族と対等な立場で交流できるようになり、また(かつては不可能だった)有機生命形態への変形によって、これまでよりも容易に「他種族と順応」できるようになった。こうしてセイバートロニアン達は、「銀河の守護者であり友人」という、その運命を叶えることができたのである(これこそヴォックが考える機械生命種族のあるべき姿である)。しばしば議論の対象にのぼりはするが、殆どのTFは、プロトフォームに込められたヴォックの「意図」について何一つ気づいてはいない。ただ、ハイ・カウンシルの主要人物達(とりわけコンボイ)は、ここにエイリアンの力が介在している事実を掴んでおり、その正体は不明だが、いずれにしろ善意に基づくものと理解し、あえて受け入れたのである。だが、ビーストウォーズ以後、この方針は変化した。
■銀河の守護者
銀河の守護者とは、恐らく『2001年宇宙の旅』の地球外知的生命のような存在のことだろう。つまり、宇宙の様々な場所で発生する知性体(精神を持つもの)の進化を促し、それらを見守る存在である。だが、TF(主にサイバトロンやマキシマルだが)の場合ずっと慈悲深いので、『2001年』の彼らのように、進化のため生命を「除草」することはないだろうが…。
■トランスメタル Transmetal
トランスメタルとは、エイリアン・マシーンの爆発によって発生したクォンタム・サージと、そこに含まれる「ヴォック因子」の影響でTFのボディを構成するナナイトが変異した、偶発的変身形態である。なお、クォンタム・サージの照射を受けながらトランスメタル化しなかったのは、C/Rチェンバーに入っていた者を除けば、全て「地球で誕生した」TF達である。この惑星の動植物群は、ヴォックによる遺伝子操作によって彼らの「物質的一部」となっていた(惑星の動物達がエネルゴン・フィールドへの免疫を持ち、そのDNAデータを取り込んだTFの「ビーストモード」がエネルゴンの影響を受けないのはこのため)。地球生まれのTFのプロトフォームが起動プロセスを受けた時、彼らはこれら「ヴォック・ビースト」の改変遺伝子情報の「全て」を体内に取り込んだ(これによって、タイガトロン達は野生と調和の取れた精神を持つに至った)。そのためクォンタム・サージを浴びても、すでにヴォック・ビーストとなっていた彼らは、変異を免れた(正確にはこれ以上の変異を拒絶した)のである。またこの時、セイバートロン生まれのTFとフューザー達の身体は、クォンタム・サージの「ヴォック憑依」によって、より重度の「ヴォック化」が進行した。メタルハンター・ベースに、トランスメタルとフューザーが「ヴォックと同質の身体構造」と見なされたのはこのためである。
■トランスメタル2 Transmetal 2
エイリアン・ディスクの解析によって、メガトロンは「トランスメタル2テクノロジー」を独自に創出した。トランスメタル2とは、メガトロンがどこからか入手したエイリアンの小型装置トランスメタル・ドライバー(画像左)の影響によるTFの変異形態である。トランスメタル・ドライバーの本来の用途は不明だが、メガトロンの改造によって、クォンタム・サージと同様の効果(トランスメタル化、ヴォック化)をもたらすようだ。トランスメタル2達のヴォックによる憑依はさらに進行していると思われ、それに伴い(ヴォックの強大なパワーを思わせる)自己修復や超感覚、テレキネシスや遠距離知覚、空中浮揚などの超絶的能力を獲得している。ダイノボットが自己修復する際には、彼のスパークがトランスメタル2特有の「エネルギー触手」を発し、傷を完治させた。ダイノボットとチーター、ブラックアラクニアの3人が、トランスメタル2TFである。
■ヴォック・レベル
ヴォック・レベル1 |
セイバートロン生まれのTF |
オプティマス、メガトロン、テラソーなど |
ヴォック・レベル2 |
地球生まれのTF |
タイガトロン、ブラックアラクニアなど |
ヴォック・レベル3 |
トランスメタル、フューザー |
TMタランチュラス、シルバーボルトなど |
ヴォック・レベル4 |
トランスメタル2 |
TM2ダイノボット、TM2チーターなど |
オプティマスについて Optimus Primal
マキシマルの探査船アクサロンの指揮官・オプティマスは、日本語版では名前がコンボイとなっているが、トレーラートラックに変形する伝説的なサイバトロン・リーダーとは全くの別人である。かのコンボイ司令官がグレートウォーをサイバトロンの勝利へと導いた偉大なる指導者だったのに対し、オプティマスは一介の宇宙船指揮官に過ぎず、マキシマル種族を代表するリーダーでもない。また、オプティマスは本来軍人ではないため(彼は宇宙探検家である)、「総司令官」ではなく、当然ながら、「サイバトロン・リーダーの証」であるマトリクスも所持していない(彼はマキシマルなので)。
メガトロンについて Megatron
プレダコンのリーダー・メガトロンは、伝説的なデストロンの破壊大帝メガトロンと同じ名前を持つものの、過去の英雄とは全く異なる人物である(彼のコードネームは「初代メガトロンの後継者を名乗る」という意味からきているようだ)。デストロンのメガトロンが、類まれな指導力とカリスマ性で全軍の頂点に君臨した人物だったのに対し、プレダコン・メガトロンは、いかなる組織にも属さない「孤高の反逆者」であり、「異端児」的存在である。彼はパックス・セイバートロニアの現状を堪え難い隷属状態と見なしており、いずれは自らを頂点に、セイバートロン星をプレダコンの元に統一するという野望を持つ。彼は本来プレダコンのリーダーというわけではなかったが(プレダコンはその混沌とした性質から、種族を統率する指導者などは存在せず、複数のプレダコン同盟と呼ばれる組織によって率いられている)、ゴールデンディスクを盗み出したことで、「エネルゴンの源泉」を餌に少数ながら部下を集めることができた。ビーストウォーズにおけるプレダコン軍とは、元々盗賊まがいの犯罪者集団に過ぎなかったのである(対するマキシマルは宇宙探査隊)。プレダコン勢力の中で、メガトロンは比較的孤立した存在だったらしく、トリプルダクス・カウンシルが派遣したジャガーに命を狙われたこともあった(彼らの計略にとって、メガトロンは邪魔な存在だった)。そんな立場において、持ち前の聡明さ、狡猾さで敵(部下も含む)の裏の裏をかいた謀略を張り巡らし、勝利を掴もうとする所が彼の魅力と言える。彼はプレダコンなので当然だが、デストロンの指導者の称号である「破壊大帝」ではない。
プロトフォームX/ランページについて Protoform X/Rampage
彼は厳密には、プレダコンではない。そのプロトフォームXという名は、マキシマルでもプレダコンでもない存在であることから付けられたものである。Xはマキシマル・エルダーズの行った、スタースクリームの持つ不滅のミュータント・スパークを再現する実験によって誕生した。だが、彼の人生は破壊と死に満ちていた。コロニー・オミクロンやスターベース・ラグビーを襲撃し、殺戮の限りを尽くしたのである。もしかしたら、Xは自らを生み出した世界そのものに怒っていたのかもしれない。壮絶なビーストウォーズの繰り広げられる太古の地球で目覚め、新たにランページという名前を与えられたXは、その強大な力をマキシマル相手に振るうことになる。その中で、先天的に強力なスパークを持ち、その影響で精神的・身体的に障害を持って生まれた不完全なTF・トランスミューテイト(X同様、力強いスパークと数奇な生い立ちを持つ)に情を移したこともあったが、彼女はランページとシルバーボルトの戦いを止めようとして死んでしまった。彼はこの時、初めて他者の死に泣いたのかもしれない。その後、オミクロンでただ一人生き残り、復讐の鬼と化したデプスチャージとの最後の戦いで、ランページはエネルゴン・クリスタルの剣をスパークに突き立てられる。最初はその刃を掴み何とか刺されまいとしたが、それが無駄と判ると、彼は剣から手を離した。一瞬驚きと困惑の表情を浮かべるデプスチャージ。哄笑するランページ。その感情を理解したかのようにデプスチャージは剣を振り下ろし、エネルゴンの巨大な爆発が起こったのだった。通常の方法では死ぬことのできない不死身のTF・プロトフォームX/ランページ。果たして彼は、どこかで「死を欲していた」のだろうか…。その最後の瞬間、「これでやっと死ぬことができる」と思ったのだろうか…。今となってはその真意を知ることはできないが、不用意な実験によって生み出され、それが失敗と判ると全てを白紙に戻そうとする組織やその世界への彼の怒りは、少なからず理解できる部分があるのも事実である。
コンボイとガルバトロンについて Convoy&Galvatron
コンボイは、サイバトロン種族のリーダーにして、グレートウォーの時代は軍の総司令官でもあった英雄である。パックス・セイバートロニア達成後は、ハイ・カウンシルの主要メンバーの一人として、セイバートロン社会の中核で活躍しているが、どちらかというと宇宙探検の方に専心しているようだ。『BW』及び『BM』では、地球暦2300年代のコンボイは画面に一度も登場していないが、『BM』ラストの惑星規模のリフォーマットによって、彼もテクノオーガニックTFへと変異したものと考えられる(テクノオーガニックなトレーラートラックに変形するのだろうか?)。また、コンボイの永遠のライバルであるガルバトロンは、伝説的なデストロン軍団のリーダー・破壊大帝メガトロンが、ユニクロンによって改造された姿である。地球暦2010年頃に起きたプラズマエネルギーを巡る戦いで、ガルバトロンの乗る移動要塞メガザラックはエネルギーの一閃を受け、サイクロナスやスカージ達、スコルポノック率いるハイブ一味共々、宇宙の彼方に消えた。その後の彼らの消息は不明であり、地球暦2300年頃のセイバートロン星では、「死亡説が囁かれている」らしい。しかし、ガルバトロンが本当に死んだという確たる証拠があるわけではない。果たして、いつの日か、彼が再びセイバートロン星に帰還することはあるのだろうか?(テクノオーガニック・プラネットとなった故郷に彼は驚愕するに違いない)
『BW』では、「マトリクス」と名の付くものが三つも存在している。コミックでは「クリエーション・マトリクス」と呼ばれるものも登場するが、ここではアニメシリーズに限って紹介する。
■マトリクス1
選ばれた者のみが持つことを許されたサイバトロン・リーダーの証であり、ユニクロンがこの宇宙で唯一恐れるもの。『BW』では、プレダコン・メガトロンに破壊されたアーク内に眠るコンボイを修理する際に登場している。メガトロンの攻撃によってコンボイの頭部が破壊された時、彼のスパークはマトリクス・コアと一体化、オプティマスはコンボイのスパークを保護するため、マトリクスと一つになったそれを体内に取り込んでいる。これによってオプティマル・オプティマスが誕生したのだが、彼の変異現象はスパークの融合のみによるものであり、マトリクスのパワーは関与していない。なお、日本では単に「マトリクス」と呼ばれているが、海外では「マトリクス・オブ・リーダーシップ(Matrix
of Leadership)」と呼ばれるため、他のマトリクスと区別することができるようだ。
■マトリクス2
マキシマルのプロトフォームが製造される巨大施設。その存在は半ば神格化されており、驚きや祈りの言葉の中にその名が織り交ぜられることがある("By
the Matrix!"など)。セイバートロン星にある時忽然と現れたこの施設は、いかなるTFも足を踏み入れたことがない、難攻不落、完全自律稼動の要塞である。惑星の隔絶された地域に存在し、一定の周期でプロトフォームを送り出している。画面には一度として現れなかったが、セイバートロン星の中心部にまで達する幾重もの地下階層(ここからプロトフォームが生み出される)を持つ、巨大な金属による対称形の美と光に満ちた場所と考えられている。この施設も、太古の地球に設置されていたものと同じく、ヴォックによる創造物である。ちなみに、一方のプレダコン・プロトフォームの製造施設は「ピット(Pit)」と呼ばれ、その形状は暗く混沌とし、非対称形をなすものと考えられている。やはり日本では上のマトリクスと同名なため、少々ややこしく、もし今後の作品で登場させるなら、名称を変えるなど配慮してもらいたい所である(他のマトリクスから取って「ディメンション(「次元」の意)」とか)。
■マトリクス3(オールスパーク)
死したTFのスパークが還る「死後の世界」であり、「全てが一つになるところ」。多くの宗教観にある「天国」と同様の概念だが、「TFシリーズ」では"確固と存在するもの"として描かれている。「オールスパーク(Allspark)」とも呼ばれ、それがあるのは"通常空間ではなく、この宇宙の精神的階層(トランスワープ・スペース?)に存在している"ようだ。「オールスパーク=ヴォック」とも言われており、それらは本質的に同じもので、ヴォックとは、オールスパークの別なる姿とも考えられる(ヴォックが「集合意識」である点にも注目すべきである)。『BM』では、伝説のコンピュータ・オラクルにアクセスしたオプティマス達の中枢意識が、その巨大な魂の集合体に肉迫している。なお、このエネルギーの総体は、かつて有機惑星を機械の惑星(セイバートロン)にリフォーマットした最大要因であり、その後、この集合体は非物質化し、精神世界に鎮座したようだ(果たして、このオールスパークは自らの意志でリフォーマットを行ったのだろうか。それとも、これを送り込んだ「何者か」が存在するのだろうか?例えば、「プライマス」とか…。もしそうならその意図とは?)。なお、「マトリクス・ディメンション(Matrix
Dimension)」とも呼ばれるが、マトリクスという言葉の使用を避けるため、当サイトでは「オールスパーク」で統一している。 |