サイバトロンの指導者に代々受け継がれてきた「リーダーの証」。彼らの過去と未来を繋ぐリンクである。中央の青く輝くクリスタル状のコアと、それを包み込むホルダー状パーツから構成されており、コアの結晶構造には、歴代リーダーの記憶と英知が貯えられている。死したサイバトロン・リーダーの魂(スパーク)はマトリクスと一つになり、後のリーダーを導いていく。ユニクロンが全宇宙で唯一恐れる存在であり、また宇宙そのものを知るキーであるとも言われる。
銀河系の黎明期(約120億年前)、プリマクロンの助手をしていた類人猿型ロボットが反乱したユニクロンの攻撃を受けた際、彼は自らの精神が込められたコアを破壊されたボディから分離し逃げ延びた。この類人猿型ロボットのコアユニットこそ、後にマトリクスと呼ばれるものの最初の姿だった。その後どのような経緯を経たのかは不明だが、このコアはいつしかマトリクスと呼ばれるようになり、サイバトロン・リーダーの証へと変化したのである。
約900万年前、セイバートロン星の黄金時代の終わり頃。民間用として開発されたロボットサイバトロンと、軍事用のデストロンの間でたびたび衝突が起こる。マトリクスは、前サイバトロン・リーダーの死などを契機に代々受け継がれていた。ある夜、シティの地下深くで新型のロボットが生み出される。それこそ、破壊大帝メガトロンの誕生であった。メガトロンの攻撃によって当時のサイバトロン・リーダーは重症を負い、彼は長老アルファートリンにマトリクスを託す。そして、長年の間(長くても数万年くらいだと思われる)アルファートリンの元に保管されたマトリクスは、その後若きサイバトロン戦士オライオン・パックス(コンボイ)へと引き継がれていく。それは、数百万年にも及ぶセイバートロン戦争の始まりでもあった。
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地球暦2005年、コンボイの戦死によってマトリクスはウルトラマグナスに引き継がれる(この際、コンボイが取り落としたマトリクスをホットロディマスが受け止めた時、マトリクスから一瞬だが強烈な光が発せられた)。その頃、宇宙の彼方から巨大TFユニクロンが出現、セイバートロン星に接近していた。サイバトロンの新たなる指導者となったウルトラマグナスだったが、なぜかマトリクスの力を解放できず、デストロンの新破壊大帝ガルバトロンに奪われてしまう。マトリクスを手にしたガルバトロンは、その力でユニクロンを自らの奴隷にしようと考えるが、デストロンの手ではマトリクスを使いこなすことはできなかった。怒りを買い、ユニクロンに飲み込まれたガルバトロンは、その体内で若きサイバトロン・ホットロディマスと遭遇し戦闘状態となる。戦いのさなか、ロディマスが偶然マトリクスを掴んだその時、コアから、強く透き通った青い光が放たれた。それは、マトリクスが真の所有者を見つけたかのようであった。ホットロディマスはロディマスコンボイへと変異を遂げ、ガルバトロンを宇宙の果てに追放、さらにマトリクスを解放する。解き放たれた光の奔流(サイバトロン・エッセンス)は、ユニクロンの全身にほとばしり、彼を狂乱状態に陥らせると、その身体を爆発四散させた。そして、新たなるサイバトロン・リーダーとなったロディマスコンボイは、長きに渡ったセイバートロン戦争の終結を宣言するのだった。 |